鉄道会社の社風 その1 ー体育会系なJRや私鉄の鉄道部門ー

冬季インターンや学内説明会なども実施されつつあり、3月からは正式に2020年卒の就職活動が解禁される。就職を考えている学生はそろそろ本格的に就活シーズンを迎えるので、今回はJR各社を参考に、鉄道業界の社風を紹介していきたいと思う。

新卒で就職を考える人だけでなく、転職する社会人の方も、業界選びの参考となれば幸いです。

世間のイメージとはギャップが大きい鉄道会社の社風

どういった人達が鉄道会社で働くのに向いているのだろうか。

向くか向かないかを考えるためには鉄道会社がどういった雰囲気でどういった社風なのかを整理する必要がある。

筆者もそうであったが、学生は就活の際に企業説明会やOB訪問、会社パンフレットを通じて企業研究を行う。

しかし実際に働いてみると、事前に伝わってくる会社の雰囲気と実際の雰囲気が大きく異なり、人によっては会社を辞めてしまうことも珍しくない

せっかく長い時間を割いて就職活動をしたにもかかわらず、そのギャップにより会社を辞めることは本人にとっても会社にとってもメリットは全くない。ある程度覚悟をもって入社しなければ辛いのは自分なのだ。このギャップを無くすためにも、説明会やOB訪問では語られない姿を知ってほしい

ここではJR系の会社について紹介するが、JRも会社や系統によっては雰囲気も異なるが、元々は同じ組織だったため大体が同じ雰囲気を持っていると考えてよいだろう。

ちなみに、私鉄は不動産や商業も行っているため全体としての状況は異なるが、鉄道部門は概ね似たような雰囲気である。それを今から紹介していこう。

予想以上の体育会系

鉄道会社は非常に強い体育会系の風土を持っている。

一般的に体育会系の会社といえば、商社や証券会社などを想像するのではないだろうか。

頻繁に開催される飲み会、厳しい上下関係、公私問わない濃厚な人間関係、etc…

こういった環境を避けて鉄道会社を志望する学生もいるかもしれないが、それは間違った思考である。特に現業機関はこの傾向が強く、一般的な学生生活を送ってきた人からしてみると、かなり戸惑いを受けるだろう。

なぜ体育会系の風土であるかという理由は、大きく3つに分けられる。今から紹介しよう。

1.頻繁に開催される飲み会

まず飲み会は非常に多い。例えばある職場に配属された際の歓迎会であれば、今日は職場のこの班の歓迎会、明日は組合の歓迎会、その次は支社の総合職の歓迎会、といった内容である。もちろん歓迎会以外にも色々な名目で飲み会は開催される。場合によっては二次会、三次会と続き日付をまたぐことも珍しくない。生真面目にすべての飲み会に参加し、身体を壊したという人もいるほどだ。

ある程度慣れてくれば断ることも可能だが、あまり参加しないと、「大卒は俺らと交流する気がないのか」と現場の人から睨まれることになる。円滑な人間関係を築くためには「飲みにケーション」が必要という考え方は未だに根強い

2.公私問はない濃厚な人間関係

また組合活動が職場によっては非常に盛んであり、休日や非番で、場合によっては年休を消化して、勉強会やレクリエーションに参加しなければならない

組合活動は建前上は任意参加であるが、この活動に参加するかしないかは評価に大きく関わる。自分は総合職でいずれ非組合員になるから自分には関係ない、といった考えは大きな間違いである。

むしろ、総合職こそ組合活動を積極的に行う必要があるのだ。というのも、現場の人々を管理する立場になった時に、経営側に立ち労使交渉を行う必要がある。この場面で組合の考え方を理解していたり、組合の幹部達と良い人間関係が築けていればスムーズに交渉が進む。

逆に組合活動をあまり積極的にこなさず、組合についての勉強を行っていないと、「現場のことを何もわかってない若造が言いたい放題いいやがって」と反感を食らうことになる。特に総合職は管理職になるまでの年数が短く(といっても昔ほど出世のスピードは速くない)、ただでさえ反感を持たれやすいため、若い時から組合活動を積極的に行い、「あなた達の考えていることを理解していますよ」といった態度を見せる必要があるのだ。プライベートを捨て、将来のためにと組合の委員に立候補する若手も存在する

3.厳しい上下関係

最後に厳しい上下関係が存在する。鉄道の運行には多くの人間が必要であり、関わる全ての人が決められたことをきっちりとこなさなければならないため、必然的に明確な指揮・命令系統が求められる

個人がそれぞれの意見をもっていては仕事にならないのだ。特に運転士や車掌といった乗務員系統の上下関係は厳しい。運転士になるためは国家資格である免許が必要なため、半年程度の訓練期間が存在するが、この期間は休憩所での挨拶や態度をはじめ、全てが監視されている。勤務中の声が小さかったり挨拶がなければ、怒鳴られるなど厳しい指導が行われる。乗客からの苦情が多かったせいか最近は聞かないが、少し前までは体罰も珍しくなかったようだ。こういった風土になじめず、訓練途中でドロップアウトしてしまう社員も少なからず存在する。自我を捨て、怒られたら大きな声で「はい!申し訳ありません!」と反応することが最も大切である

旧態依然とした会社

以上のように、JRや私鉄をはじめとした鉄道会社は、大抵体育会系の社風を持っている。多くの人は鉄道会社はスマートであり、理不尽なことは少ないと考えているようだが(私も学生時代はそうだった…)、実はそんなことはなく旧態依然とした体育会の雰囲気がまだまだ残っている。

実は鉄道会社の社風はこれだけではないので、それはおいおい紹介しておくが、体育会系であることをまず認識しておくだけでも、大分違うだろう。

“鉄道会社の社風 その1 ー体育会系なJRや私鉄の鉄道部門ー” への1件の返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です