転職を思い至るまで その2 -転職エージェントとの面談-

前回の記事では転職を志した理由について書いた。簡単に言えば、技術も何もない中途半端な社会人になってしまうことが嫌になったのだった。

今回は鉄道会社からの転職活動の実際について、私の体験をもとに書いていきたいと思う。

まずは転職サイトに登録

転職したい企業がはっきり決まっている場合、その企業に連絡したり知人の伝手をたどることも出来るだろう。

しかし、何となく転職したいな、どこかいい企業はないかなというふわっとした状態なら(多くの人がそうだろうが…)、とりあえず転職サイトに登録すべきである。

登録するのはタダだし、自分の職歴や学歴を入力することでおススメの求人も紹介されるし、転職エージェントとの面談を通じて転職活動全般のアドバイスをもらうこともできる

私自身も入社して1年も経たないうちに、とりあえず大手の転職サイトには登録を行った。それだけでも、辞めても新たな道は開けそうという心の余裕ができて、普段の業務で嫌なことがあっても、まあいざとなれば辞めればいいし…と耐えることができた。

ちなみに、登録してエージェントと面談するという点について抵抗を覚える人もいるかもしれない。しかし、面談をしたりアドバイスを貰ったからといって、転職を強要されることもないし、しつこく電話が掛かってくるわけでもないから心配しなくてもよい。

そもそも転職サービス自体なんとなく登録だけしている人がほとんどであり、エージェント側も皆が本気で転職を考えてるなど思っていない。沢山人に会って、数%程度の人が本気で考えてくれれば成り立つ商売なのだ。皆さんが罪悪感を持つ必要は全くない。

話はそれたが、私もとりあえず大手数社の転職サイトに登録してみた。

流れは簡単で、名前や会社名、職務経歴や学歴、住所、資格などを何も考えずに入力していく。ものの数分で登録は終了した。

自己PRや志望動機などを入力する部分もあるが、とりあえず空白でもよいとのことだったので放置する。

登録が完了すると、サイトに掲載されている求人情報が見られるようになる。その数は非常に多く、世の中にはこんなにも沢山の求人があるのか…と少し感動した。誰もが知っている大企業も求人を出しており、世の中には色々な道があるのだな、と思った。

転職エージェントとの面談

登録してからしばらくすると、担当のエージェントから電話がある。一度直接会って面談をしてみないか、とのことだった。

転職サイトを運営する企業のオフィスがある、ターミナル駅近くの大きなビルが面談場所として指定された。

面談場所のビルはオフィス街にあり、スーツ姿のビジネスマンが忙しそうに歩いている。普段は昭和の香りが残る古い場所で働いていることもあり、自分とは全く異なる世界があるのだと感慨を覚えた。

受付を済ませ指定された部屋に入る。オフィスは近代的であり、また慣れないスーツを着ているため非常に居心地が悪かった。

しばらくすると担当のエージェントが部屋に入ってきた。洒落たスーツを着こなしており、立ち振る舞いも会社の人間とは全く異なり、洗練された雰囲気を漂わせている。まず名刺交換から始まるが、鉄道会社の仕事は外の企業とかかわることはほぼないため、名刺を渡す機会も全くなく、研修でも名刺の渡し方など習うこともないので見様見真似で名刺を交換する。

早速、HPに入力した経歴をもとに面談が始まる。なぜ転職をしようと思ったのか、どんな企業に行きたいのか、など一般的な質問がされ、なんとなく自分の将来に不安を持ち今の会社に居たままでは、何のスキルもない中途半端な人材になるのではということを伝えた。

エージェントは、ふんふんとうなづきながら、慣れている様子で手元のメモに何かを記入していく。

一通り話し終えると、エージェントから紹介できそうな求人一覧が提示された。

しかし、それは思っていた以上に厳しい内容だった…

予想と異なり、非常に少ない求人数

HPに出ている求人をチェックしていたので、ある程度レベルの高い求人が沢山紹介されると思っていた。

しかし現実は厳しく、エージェントが持ってきた求人は思っていた以上に少なかった。

「あなたの経歴を拝見し弊社でも色々と検討したのですが、今のところこのくらいしか紹介できるものはなさそうです」

エージェントが申し訳なさそうに言う。今の給与とほぼ変わらないか、もしくは低い求人で、しかも名前も聞いたことのない会社がほとんどである。HPにはあんなに求人が沢山あったのになぜ!?と問いただすと、

「申し訳ないのですが、これといった業務経験やスキルもなく、年齢も年齢ですから…」とのこと。鉄道会社では様々な現場や業務を経験していたつもりだったが、鉄道会社で働いていた時間は、ほぼ何の役にも立たないということが思い知らされた

心配していたことが現実となってしまったのだ。世間一般では、大手の鉄道会社のネームバリューは非常に高い。しかし、いざ新たな道を選ぼうとしても、市場のニーズを満たさない中途半端な人材であることが判明したのだった。

「私も何とか探してみますが、転職を本当にされるのであれば、一旦はこちらの求人から選んだほうが良いかと思います」

言外に、お前の市場価値などないんだといわれている気分になり、心が沈んでいく。私の場合最高とは言わないまでも、それなりの学歴である自覚もあったし、新卒の就活では門前払いを食らうこともなくそこまで苦労することもなかった。

それが鉄道会社に就職し数年経ったら一転し、求人を出すことすら難しいという。一体、この数年間はなんだったんだろう。。。暗澹たる思いになった。

鉄道会社で身につくスキルに市場価値はほぼない

以上の体験からわかるように、一旦鉄道会社に入ってしまうと、その業務や業界の特殊性から転職先は非常に限られる。それもそうである。企業からしてみれば、汎用性の低い鉄道の現場や組合対策や決まったことを決まったようにこなすルーチンワークをひたすらやってきた、特にスキルもない人材をあえて雇う理由はない

強みといえば、年齢の若さ程度しかないが、これも30代以降になってくると全く活かせず、どんなに嫌でも同じ会社に残らざるを得なくなる。

同じ会社で一生を過ごし、面白くない業務も割り切って生きていこうというのであれば、鉄道会社はこれ以上にない環境である。よっぽどの大きなミスをしなければクビになることもないし、地位を求めなければ適当に仕事をしておけばよい。

しかし、もしあなたが鉄道会社の実態に疑問を持ち、違う道を選ぼうとするのならば、可能であれば20代前半が良いだろう。年齢の若さによる適応能力の高さしか強みがないのだから。

筆者はそのことを自らの厳しい転職活動を通じて、身に染みて理解したのだった。

次回は転職活動の実態について引き続き書いていきたいと思います。

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