鉄道会社の組合はどんなもの?その2

前回、鉄道会社の労働組合について簡単に紹介しました。
今回は鉄道会社ならではの組合活動について紹介します。

異様な雰囲気の組合大会

飲み会やスポーツ大会、各種レクリエーションなど普通の会社と同じような組合活動の他に、政治勉強会や定期大会といった活動が存在する。

中国・北朝鮮を髣髴とさせる定期大会

定期大会とは、ある地域の組合員の代表が集まり、今後の方針や賃上げなどについて話し合いを行ったり、交渉後に会社側の回答を共有し、○○という項目について勝利した!××はこれからの課題である!といったように、団結を深めることを目的とした集会である。

ちなみに、組合にも会社組織同様ヒエラルキーがあり、
職場分会→地区分会→支社分会→全社会
のような形になっており、更に女性委員会や青年委員会、グループ会社委員会など、組織は多岐にわたる。

これら組織それぞれに定期大会が存在し全社大会ともなると、大きなホールを借り切って盛大に大会を行う。その姿は中国共産党や北朝鮮の党大会を髣髴とさせる

組合全社大会イメージ

団結ガンバロー

大会の最後には必ず行われる行事がある。

参加者全員が起立し、組合幹部が会場の中央に掲げられている組合の旗の前に仁王立ちする。

組合幹部「団結ようーい!」

これに従い参加者は全員拳を掲げ、

「団結ガンバロー!ガンバロー!ガンバロー!」

と叫ぶのである。この行事を避けて組合の大会は語れないのである。最初に参加した時は戸惑うかもしれないが、恒例行事として徐々に違和感なく行えるようになってくる。まるで宗教のようだが、これが日常である。

現場に配属されると、新入組合員歓迎会というものが行われるが、ここで団結ガンバローのやり方を教え込まれる。

なぜ組合が政治活動?疑問の多い政治活動

国政選や市長選などの地方選の前になると、政治勉強会といったものが開催される。

政治勉強会と名乗っているものの、実態は選挙前の投票要請である。

組合が支援している候補者が、A選挙区にはA氏、B選挙区にはB氏、C選挙区にはC氏が存在しているので、それぞれの地域に住んでいる組合員はこれらの候補者に投票しましょう、といった勧誘が行われる。また、親や親戚にもそれらの候補に投票するよう勧誘してくれ、と要求される

また、政治に関する若手ディスカッションという会もあるが、既定路線の結論に司会が誘導していくだけの形骸化したもので、冷めた目で見られていた。

政治団体への加入要請

勉強会だけならまだしも(休日をつぶされているのでそれだけでも不満は溜まるが…)、組合を母体とする後援会や政治活動団体に会費を払って加入しませんか、という要請までされる

流石に金銭絡みの話になるので強制されることはないが、同調圧力のようなものは存在する。

休日をつぶしたデモ動員

さらに、国会議事堂や県庁などの前で行われるデモ活動への参加や、街頭でのビラ配りをさせられることもある。

デモ活動では組合幹部が作成したプラカードや幟が配られ、決まったルートを更新させられた後に、役所の前や駅前広場などに集まり幹部の演説を聞き、盛大な拍手を行う。もちろん、組合の大会で教わった団結ガンバローも行われる。

若いカップルや友人同士、家族連れなどでにぎわう広場で、良くわからないプラカードや幟を掲げている異様な集団…

友達や家族に見られないよう、人ごみに紛れて目立たないよう努めていた。

なぜ反戦?反原発?

これだけでも異様だが、全く理解できない動員も存在した。

労働者の待遇向上を求めるデモならばまだわかるが、なぜか反原発、反戦、沖縄基地反対などのデモの動員も行われた。

ここまでくると、全く意味が分からない。なぜ貴重な休日をつぶして、反戦や反原発活動を行う必要があるのだろうか

そもそも労働組合は、労働者をブラック企業から守り、待遇を向上させるための存在ではないのだろうか。反戦や反原発が、それらの目的に何の関係があるのだろうか

疑問は際限なく湧き上がってくるが、組合の幹部は口を濁す。
徐々に組合に対して、またそんな組合が存在する会社について不信が募るのであった。

組合活動は政治活動

以上のように、組合活動=政治活動である。
鉄道会社への就職=組合への所属であるから、必然的に政治活動も行う事となる。

政治活動を通じて、鉄道会社社員から国会議員になった事例もあるようだ。

筆者の感想ではあるが、鉄道会社の組合は本来の目的を外れ、良くわからない方向に進んでいる印象がある。

さらに、貴重な休日もつぶされ、給料が出ない活動に半強制的に参加させられる。就職する前にこの現状がわかっていれば、鉄道会社を敬遠しただろう。

しかし、一般的にはこれらの現状は全く伝わっていない。
鉄道会社へ就職や転職を考えている人は、ぜひこれらの現状を知った上で判断してほしい。

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