鉄道会社の組合活動=政治活動であることを以前紹介しました。なぜ、そこまで大規模な活動ができるのか?今回は組合への強制加入と社員が徴収されている組合費の実態について紹介します。
労働組合へはほぼ強制的に加入
鉄道会社に就職すること=労働組合に加入することについては既に紹介した通りである。
建前上は、労働組合への加入は自由であり、どの組合を選んだとしても不都合にならないというオープンショップ制をしいているが、実態は異なる。筆者も半強制的にある組合へと加入させられた。
組合への加入手続き
新入社員研修が始まりしばらくしてから、先輩社員主催の懇親会を行うという事で、本社近くのホテルへとバスで異動させられた。なぜか出発前に講師から、「筆記用具と印鑑を持っていくように」という指示が下される。
単なる懇親会なのに変な指示だな、と思いつつも指定されたものを持って会場へと向かった。
新入社員全員が会場で指定された席に座ると、司会の人から今回の懇親会の趣旨について説明が始まった。
「今日は皆さんに、労働組合というものについて知ってもらおうと思います。」
懇親会のはずなのに、なぜ?と同期と顔を見合わせていると、同じテーブルの先輩社員が何やら紙を出して説明を始める。
「ブラック企業って最近よく聞くよね?君たちもこれから会社で働くことになるけど、給料が払われなかったり、不当な命令をされたらいやだよね?」
「でも、そういうことが起こってしまったとき、私たち社員が一人で会社に抗議するのは難しいでしょ。」
「だから社員が団結して、会社に社員の声を届けることが必要だね。そのための組織が労働組合なんだ!」
とまあ、テレビショッピングのような茶番、もとい出し物が目の前で繰り広げられる。懇親会とは一体なんだったんだろうか?出された飲み物や食事に手を付ける暇もなく、先輩の出し物は続けられる。
「こういう組合がないとどうなると思う?会社はきっと、僕たち社員に平気で無理難題を押し付けてくるよね」
「もしかしたら、賃金が未払いになるかもしれないし、不当にクビにされちゃうかもしれないよね?」
「そういうことが起こらないよう、社員側も団体となって力を持つ必要があるんだ!」
とまあ、こんな具合である。いつの間にか、控えていた別の社員が入会届をテーブルに配っていく。先輩たちは、僕らの話に共感してくれたら目の前の書類にサインして印鑑を押してくれと言っている。
ここで初めて印鑑と筆記用具を持っていくという意味が分かった。
まさかこの雰囲気で断る人間がいるわけもないし、実際私も組合が怖い会社から自分を守ってくれると信じていた。(実際は、肝心なところは抗議してくれることもなく、会社の他に組合という大規模な組織の面倒な関係まで加わり、負担は増えただけなのだが…)