地方配属総合職の家計簿

総合職の収支

鉄道会社の給料は、総合職といえども決して高くなくまったり高給というのは幻想であるが、福利厚生は比較的充実している、ということはこれまでも書いてきた。

今回は、私やその周りの人の給与明細や家計簿をもとに、具体的な月の収支のイメージを紹介したいと思う。JR各社の採用HPには初任給が書かれているが、その会社の中で最も手当が高い数値となっているので、あまり参考にはならない。そのため、地方配属になった場合のリアルな数値を今回は紹介しよう。

一応、以下のように前提はおいてあるので、会社の違いや個別の事情を考える場合、適当に足したり引いたりしてみるとよいだろう。

  • 基本給20万円(JR東日本をイメージ、大卒総合職3年目、院卒総合職1年目くらい)
  • 地方配属(都市手当4%)
  • 残業15~20時間程度(ちょっと忙しいくらい)
  • 独身・寮住まい
  • 財形貯蓄や社員持株会など会社関係の制度の利用はなし
  • 保険は健康保険・雇用保険・年金等、国の制度のみ。生命保険等の民間への加入はなし
  • 車もなし

特定を避けるため数字はある程度丸めているが、一般的な大卒で地方配属になった総合職の月収支としては、大きくは間違っていないと思う。JR東海はこれに収入がプラス2~3万くらい、JR西日本はちょいマイナスくらい、JR北海道・JR四国・JR九州はマイナス1万円くらいを想定してもらえば大体あっているのではないだろうか。

会社の寮に住んでいる場合、住宅費(寮費と光熱費含む共益費)は給料から天引きされるので、大体手取りは15万~16万円となる。

朝晩の食事は寮の食堂で済ませており、大体朝300円、夜500円くらいで食べることができた。また昼も職場の仕出し弁当やスーパーの安売り弁当を食べており、大体500円もかからなかったため、食費は3万円と外食中心にしてはかなり抑えられている

雑費には衣服や消耗品が含まれているが、これも業務スーパーやユニクロなどで結構安めのものをひたすら買っていた。あとは細かい交通費とかもここに含んでいる。

娯楽には、同期などとの飲み会、レジャーや書籍、DVDレンタルやカフェ等すべて含んでいるが、まあ割と抑えていた方かもしれない。飲みに行くときもクーポンを使ったり、なるべく安い店を探したり等、かなり気を使っていたと思う。職場関係の飲み会はそういった裁量が効かないので、何ともできなかったが。。。

これで大体月4~5万円くらいは残っていたので、貯金と投資に回していた。ネット証券で口座を開いて、安い株を買ったり、投資信託を買ってみたりしていた。

このように、無駄遣いを避けるように気を付けていれば、意外と金は貯まると思う。

コンビニには行かなかったし、服や靴もブランド品は全く買わなかった。交通費も社員用のパスがあるため、事業エリア内なら半額以下で旅行に行けるし、系列のホテルに泊まれば割引も受けられる。行先は限られるし、型にはまった生活にはなるが、それでも良ければ悪くはない生活だろう。

ただ、ものすごく金が溜まるわけではないので、好きなように趣味に使ったり、結婚式が重なったりすると、たちまち生活は苦しくなる。また、早く結婚して子供が生まれたり、車や家を買ったりするとさらに生活は厳しくなるはずだ。

なんとなく生活は想像できただろうか。これから鉄道会社に入社する人、今若手の社員の人の参考になると嬉しい。

鉄道会社の組合はどんなもの?その4(どの組合に入ればよいか)

以前から鉄道会社の労働組合については色々と記事を書いてきた。

大きく内容をまとめると、①鉄道会社への就職=労働組合への加盟(第一組合員に非ざれば人に非ず)、②組合活動は政治活動(団結ガンバロー)、③労働組合は巨大集金装置、である。

2020年5月現在、今年入社した新入社員の方々はもう組合への勧誘が本格化してきた頃だろうか。あるいはもう既に組合加盟の手続きをしてしまった後だろうか。

結論から言ってしまうと、鉄道会社に就職するにあたって組合に入らないという選択肢はない。ただし、入る組合を間違ってはいけない。会社と手を握っている組合に入らなければ、鉄道人生はそこで終了である。

今回はJR本州各社において、どの組合に入ればよいかをそれぞれ紹介しよう。

JR東日本:社友会

JR東日本に就職した場合、厳密に言えば組合に加盟する必要はない。これはJR各社の中でも異例の存在である。

しかし組合の代わりに、「社友会」という組織があり、組合ではなくここに加盟する必要がある。

元々は、東労組(東日本旅客鉄道労働組合)・国労東日本(国鉄労働組合東日本本部)・東日本ユニオン(JR東日本労働組合)など計8つの組合が存在した。(同じ会社に8つも組合があること自体意味が分からないのだが…)

が、さらにそれも分割し、現在は11の組合が存在している

出所:東日本旅客鉄道株式会社IR資料

このうち、東労組(とうろうそ、と読む)というJR総連系の組合が最大勢力で、会社側ともべったり組んでおり、この組合に入っていなければ人に非ずといった権力を誇っていた。

この辺りの経緯は書くと長くなるので別の記事で紹介しようと思う。

しかし、2018年に東労組が計画したストライキが失敗したことを発端に、この最大組合は分裂した。この辺りの経緯は、「JR東日本 ストライキ 失敗 分裂」等でググってみれば詳しく出てくるだろう。

要するに、過激な行動を起こして”古き良き”労働運動というものをやりたがった組合幹部に、大半の若手組合員がついていけず大量に脱退したということだ。

5万人近くもいた組合員が、現在は1万人を切っている。大幅な脱退だ。

東労組と内心手を切りたがっていた会社の人事労務系の勢力が背後で糸を引いていたという話もあるが、おそらくは今の2~30代の社員にとって、馬鹿げた権力闘争や労働運動等は時代錯誤であり、加齢臭がする労働組合に付き合ってられないという空気が大きかったと思われる。

この最大勢力の東労組が無くなった受け皿として、会社側が用意した団体が「社友会」である。東労組程の組織ではないが、会社側が手を組んでいる組織なので入るよう誘導されるだろう。特に総合職は下手に自分で考えて組合を選ぶのではなく、会社と手を結んでいる団体に入らなければ永遠に出世の芽は無くなるので気を付けよう。

JR東海:JR東海ユニオン

JR東海に就職した場合、JR東海ユニオンへの加盟が必要だ。

JR東海には、JR東海ユニオン(東海旅客鉄道労働組合)、国労東海(国鉄労働組合東海本部)、JR東海労(ジェイアール東海労働組合)、建交労東海(全日本建設交運一般労働組合東海鉄道本部)の4つの組合が存在する。

出所:東海旅客鉄道株式会社IR資料

最大勢力はJR東海ユニオンであり、ここが会社と手を組んでいる組合となる。

入社した人はここ以外の組合に入ることは許されない。というか、JR東海の場合は他労組が新入社員を加盟させる隙を作らない。研修期間中は他労組の社員が新入社員と接点を持つことはないし、現場配属後も徹底的に監視される。

よほど会社に不満があり、自ら他労組に加盟を申し出ない限りはほぼ確実に他労組に加盟することはないだろう。

こういった徹底した労組対策が功を奏し、JR東海の労働組合は比較的安定している。約95%がJR東海ユニオンであり、他労組の高齢化は著しい

その余裕からか、少数組合に対する表立った弾圧もそこまで見られない。また組合活動もそこまで政治的な色は強くない。どちらかといえば、団結を深めるための軍隊的な行動が多い印象がある。

他労組の定年退職が進み次第、単一組合へと収束していくのではないだろうか

こういった環境のため、他労組に入った瞬間に干されることは確定である。普通に勧誘されるままにJR東海ユニオンに入るのが安定した鉄道人生を送るために必須である。

JR西日本:JR西労組

JR西日本に就職した場合は、JR西労組(にしろうそ、と読む)への加盟が必要である。

JR西日本には5つの組合がある。JR西労組(西日本旅客鉄道労働組合)、国労西日本(国鉄労働組合西日本支部)、JR西労(ジェーアール西日本労働組合)、建交労西日本鉄道本部( 日本建設交運一般労働組合西日本鉄道本部)、動労西日本(国鉄西日本動力車労働組合)である。

出所:西日本旅客鉄道株式会社IR資料

このうち最大勢力はJR西労組であり、会社と手を組んでいる。

JR連合というJR東海と同じ上部組織を持つ組織であり、その成り立ちも含めJR東海の労働組合と雰囲気は似ている。

入社するとここ以外の組合に加盟することが許されないのはJR東海と同じである。また、JR西労組の組織率は95%程度と非常に高くなっており、JR西日本も単一組合へといずれは収束していくだろう。

ただし、JR西日本はJR東海ほど労組対策は徹底されておらず、他労組も比較的自由に動けている(といってもそこまで積極的なわけではないが)。

これには理由があり、JR西日本は他労組(JR西労)の運転士を自殺に追い込んでいる。詳しくは書かないが、労組が異なるという理由で日勤教育をはじめとした不当な待遇を受け続けた結果、ある運転士が自殺したという事件である。裁判にもなったが、会社側の責任は問われていない。

また、福知山線脱線事故の影響も大きいだろう。あまり監視を強めすぎると、社員が暴走して重大事故につながりかねないという認識が会社にもあるのではないだろうか。

いずれにせよ、JR西日本も最大労組であるJR西労組に加盟するしか選択肢はない。ここもJR東海と同じく政治色が強い過激な組織というわけではないので、まだマシだろう。

まとめ:最大組合に入るしか選択肢はない

ここまでJR本州三社の組合事情について書いてきたが、これはJR北海道やJR四国、JR九州、JR貨物においても同様だ

それぞれ最大勢力の毛色は違うにせよ、第一組合に入らなければまっとうな鉄道人生は歩めない。会社に不満があるからといって、下手に感化され勢いだけで組合を移ることは決してしてはならない。

会社側の意向をよく見極め、どの組合が力を持っており、出世につながるかを見極めることが重要だ。

しかし、冷静に考えてみれば同じ会社内に複数組合が存在し、事業で他社と競争するのではなく、社内で組合同士でいがみ合うというのもおかしな話だ。

特に、JR東日本の組合事情は現在かなり入り乱れている。東労組の分裂から2年経ち、分裂した組合が更に分裂を繰り返すなど、内ゲバばかり繰り返している

くだらない権力闘争に巻き込まれたい人なんて皆無だろうが、鉄道会社に就職した以上どうしてもどこかで組合と関わらざるを得ない。自分の利得のみを考えて生きていくことがベストだが、職場の人間関係等色々なしがらみから、中々そうはいかないことも事実だ。

また、鉄道会社に総合職として就職した人は、組合こそが会社の主要な業務だという事を認識する必要がある。鉄道事業の海外展開や関連事業の開発、輸送の未来を考える等、大きな夢を持っている人が大半だろう。

しかし現実は、時間の無駄にしか思えない調整業務や組合との折衝だ。自分の所属する組合だけでなく、各組合の動向は嫌でも学ばなければならないし、いずれ管理職になってくると各組合とのつながりは避けられない。くだらない内容がほとんどで時間の無駄に思えることばかりだろうが、鉄道会社イコール組合である。組合対策をやって給料をもらっているといっても過言ではない。

総合職・現業職関係なしに組合は絶対に避けられない。旧態依然とした組織ではあるが、それが鉄道業界の「常識」なのである。世間と同じ感覚を持っていては務まらない仕事である。

それを認識したうえで、皆さんもうまく会社・組合と付き合っていってほしい。

鉄道会社のインターンで実態はわかるのか?

このブログは外からはわからない鉄道会社の実態を伝えることを目的としたブログだが、インターンに行けば実態がわかるのでは?という意見もよく聞く。

確かに最近はJR・私鉄共にインターンをやる会社が多く、学生の業界理解の助けになっていることは間違いないだろう。

しかしインターンは所詮はインターン。今回はインターンではどのような事をやって、それが実態とはどう違うかを紹介しよう。

1.傍からみるとかなり本格的

多くの鉄道会社が「業務理解を深めてほしい」「会社で働くイメージを持ってもらう」「より実際の業務に近いことを体験し志望度を上げてもらう」等と称してインターンをやっている。

今回は代表例として、JR東日本とJR東海の最新のインターンシップ内容を見てみよう。

JR東日本だと大きくはビジネスマネジメント(事務系)とテクニカルマネジメント(技術系)の2つ、JR東海だと事務・運輸・施設・車両・電気の5種類と採用系統と同じくくりになっている。

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運転士になるには?その1 -意外と長い道のり-

どんな人も子供の頃、電車の運転士に憧れたことはあるだろう。特に男の子であれば一度はなりたいと思うに違いない。
実際、将来就きたい職業ランキングでは10位以内に入っている。

また、なってみれば(あくまで今のところだが、)意外と給料も悪くはない。

では、電車の運転士になるにはどうすればよいのだろうか。
今回は一人の運転士として、列車を動かすまでにどのような過程を踏めばよいのかを紹介してみる。

1.鉄道会社に就職する

運転士は国家資格

運転士は国家資格であるため、実際の路線で列車を運転するためには、国土交通省の地方運輸局が発行する免許が必要になる

自動車を運転するためには、教習所に通い、試験を受けて免許を取得するのと同じである。

運転士の免許は動力車操縦者免許と呼ばれ、国土交通省が指定する養成所で指定の教育を受けた後に、実習を行うことで取得できる。

注:これは動力車操縦者免許ではありません

国土交通省が指定する養成所は、鉄道会社の研修施設内にあるため、まずは鉄道会社に就職することが第1歩である。地方の規模が小さい私鉄だと、自社で養成せずに大手の鉄道会社に研修を委託している場合もある。

また国家資格であるため、鉄道会社に就職せずとも独学で勉強を行い、試験に通ることで免許を取得することも、理屈上では可能であるが、机上教育ならまだしも、実際の路線上で練習をすることが出来ないため、現実的には不可能であり、費用も莫大となるためこれまで個人で取得した事例は筆者は聞いたことがない。はっきりはしないが、現在は法的にも鉄道事業者に所属しなければ取得不可と変わったかもしれない。

自動車でいえば教習所に通わず、免許センターへ直接試験を受けるようなものだろうか。しかし鉄道の場合はよりハードルが高いだろう。

1人の運転士を養成するのに1,000万円?

ある鉄道会社が少し前に、自費での運転士養成を募集し、実際に数名が運転士となったが、数百万円もの自己負担があったようだ。

筆者自身も社内で、運転士を一人養成するためには1000万円近くの金がかかっている、という言葉を聞いたこともある。

のちに詳しく述べるが、訓練期間中は単に座学を受けているだけだったり、実際の路線を運転していても、指導役が横についている。事故や異常時の訓練のための運転シミュレーターも莫大な費用が掛かる。人件費や教材費を合わせると、そんなもんだろう。

このように運転士を一人養成するためには、莫大な時間と金がかかるため、個人では到底不可能である。

入社後の配属を勝ち取れ

話が逸れてしまったが、運転士になるためには、とにかく鉄道会社に就職する必要があるという事だ。

しかし、入社したからといって安心はできない。まずは配属というハードルをクリアする必要がある

鉄道会社は駅、輸送、保線、電力、車両など様々な系統ごとに採用を行っており、入社後すぐに系統が決められるが、最初に入った系統から異動することはほぼ確実に無い。このため運転士になるためには、まず輸送系など運転士に関係のある系統に配属されなければならない。これが第1のハードルである。

運転士になりたい人が、入社後の配属で輸送系の部門に配属されず、何度か上司に相談したものの結局異動もかなわず辞めてしまったこともあるようだ。

とにかく、入社前から輸送系の職種を志望しておき、面接や配属の面談でもそれを言い続けるのが良いだろう。

2.駅員・車掌になる

さて、運良く輸送系の部門に配属されたとしても、いきなり運転士の養成コースに入ることは出来ない。

駅員→車掌をまずは経験

会社によっても異なるが、基本的に駅員→車掌というように段階を経ていき、各段階で少なくとも2年程度は経験を積ませるため、高校を卒業して18歳ですぐに入社し、最短でステップを踏んでも養成コースに入るためには23~4歳になっている。

駅員や車掌は運転士に向けた一つのステップに過ぎないと思う方もいるだろう。

しかし車掌になるためにも社内の筆記試験や面接試験があり、遅刻歴がないか、ひどいミスをしていないか、接客態度に問題はないかといった、普段の勤務態度を勘案したうえで試験の合否が決められる。

遅刻があったり、勤務態度が悪いとその時点で乗務員としての適性がないとみなされ、試験を受けることすら出来ないから要注意だ。

ほぼ対策できない適性検査

また車掌を含め乗務員になるためには、医学適性検査や運転適性検査といった検査も通過する必要がある。

医学適性検査の細かい内容は会社ごとに異なるが、視力や聴力、色覚、遠近感や睡眠状態、果ては脳波まで細かく検査される場合もある。これらは生理的なものだし、訓練してどうにかなるものではない。

運転適性検査は、クレペリンという瞬時の判断力や作業の正確性を見る検査であり、検索をしてもらえば詳細はわかると思うが、非常に精神を消耗する検査である。

これらの検査の合格基準は知らされておらず、これといった対策を立てることは困難だ。

稀に、これらの検査を通過することが出来ずに、乗務員を諦める人もいることもある。

3.運転士養成コースに入る

まずは運転士コースの登用試験

車掌を数年経験した後、特に問題なく業務をこなしており、上長からの推薦があれば運転士養成コースに入るための試験を受けることになる。

この試験も車掌と同様に、筆記試験や面接試験があり、社内通信研修の受講なども必要となる。普段の勤務態度や遅刻歴が重視されることは言うまでもない。

ちなみに、JR東日本は車掌・運転士の登用試験を来年にはなくすので、試験についてはハードルが無くなる。

運転士と車掌の名称廃止へ JR東日本、登用試験もなくす(共同通信)

10回近くこの試験を受験したにもかかわらず、特に目立った理由もないのに落とされている人もおり、俺は諦めて車掌を続けるよ、といった人もいる

また、車掌になるときと同様に、ここでも適性検査を受けさせられる。車掌の時よりも基準が厳しい場合があり、運転士になるために会社に入ったにもかかわらず、適性検査に合格することが出来ず、会社を辞めていった人もいる

合格しても先輩の順番待ち

養成コースに合格したとしても、要員の都合上すぐに研修施設に入れるわけではなく、長ければ1年以上待たされることもある

試験に合格して喜んだものの、結局今までと同じ仕事を1年近く続けており、結局なんだったんだ。。。?と思うこともあるだろう。

関門はまだまだ続く

ここまで書いたように、運転士になるためには時間もかかるし、それなりのハードルを越えてこなければならない。

しかし、ここまで書いたのは、養成コースに入るまでの過程であって、コースに入ったからといって必ずしも全員が運転士になれるわけではない

次は、机上研修と、最もハードルが高い実地研修について書いていこうと思う。

鉄道会社の給料 -実はおいしいのは運転士?-

前回の記事では、鉄道会社は世間で言われているような「まったり高給」ではない事を紹介した。

大企業だから高給だろうと入ってみると全くそうではない、入社前には会社からは決して話されることがない裏側について紹介した。

しかし、職種によっては色々な手当がつき、多少給料が良くなることもある。今回は、その中でも最も大きい、乗務員手当について紹介しよう。

「乗務員手当」はどう計算するのか

鉄道会社には様々な手当が存在するが、最も大きな手当は、運転士や車掌が乗務した時に支給される「乗務員手当」だ。

これは大まかに言えば、乗務時間と距離に応じて支給される手当であり、基本的には以下の式で計算される。

乗務員手当総額=①1か月あたりの乗務時間・距離 × ②時間・距離単価 

それぞれの項目についておそらく鉄道会社に勤めている人以外は聞きなれないと思うので、簡単に解説してみよう。

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鉄道会社の給料 -本当に「まったり高給」なのか?-

4月1日に鉄道会社に就職した新社会人の方は、そろそろ人生初の給料日が近付いてきたことだろう。既に給与明細が配られている人もいるかもしれない。

今回は、鉄道会社の若手の給料について、少し詳しく書いてみようと思う。

新社会人の人は、今後数年働く中でどれくらいの給料がもらえるか、またJR各社をはじめとした鉄道会社への就職を考えている人にも、会社選びの一つの軸として参考にしてほしい。

一般的に高給と思われている、鉄道会社(特にJR各社)の総合職の給与に注目して書いてみる。

鉄道会社は決してまったり高給の良い仕事ではない

学生をはじめとして、他の業界で働く社会人でも、鉄道会社は安定で高給、仕事はまったりというイメージを抱いている人は多いだろう。

結論から言ってしまえば、「まったり高給」というイメージは全く間違っていると言わざるをえない。

簡単に表すと、手取りは以下のような式であらわされる

手取り=基本給+各種手当(都市手当、超勤手当、特殊勤務手当、etc)ー各種控除(所得税、住民税、健康保険料、年金保険料、etc)

それでは、細かく見てみよう。

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鉄道会社へ就職するには? -リク面の内容-

前回の記事では、鉄道会社(JR各社)の就職活動で行われている、リクルーター面談(通称リク面)について書いてみた。

簡単に言えば、 採用解禁前から業務説明や先輩社員との懇親という名目で、喫茶店などで行われる非公式な面接の事である。

業務説明という言葉を額面通り受け取り、志望動機や自己PRを何も考えていないという点だけは避けたい。

今回は、リク面で主に聞かれる内容と、なぜそのような質問がされるかについて、私の推測も含みつつ紹介したいと思う。

これは確実ではなく私が体験したり周囲から集めた情報を基に書いたものなので、現在も必ずしもその内容が聞かれるとは限らないので、その点はご容赦いただきたい。

リク面で聞かれる内容は、大きく分けると3つ

細かい内容は異なるが、どの鉄道会社(JR各社)のリク面もほぼ聞かれることは同じである。傾向として、以下の3つの質問内容が多いようだ。

① なぜその会社を志望するのか(JR東日本ならなぜ東海ではなく東日本なのか)

② 学生時代に頑張ってきたことは何か

③ 他企業の選考状況はどうなっているのか

それぞれについて、簡単に紹介してみよう。

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総合職の採用系統 -それぞれどんな仕事をするのか?-

今回は主にJR各社、特に主要三社(JR東日本、JR東海、JR西日本)の総合職の採用系統について紹介しよう。

採用系統で一生の仕事が決まる

ご存知の方も多いかもしれないが、JR各社は「総合職」という採用は行っていない。JR各社の総合職の選考を受ける場合、多数ある系統から一つを選ばなければならず、「総合職○○系統」といった採用になる。

ご存知の方も多いかもしれないが、JR各社は「総合職」という採用は行っていない。JR各社の総合職の選考を受ける場合、多数ある系統から一つを選ばなければならず、「総合職○○系統」といった採用になる。

選考の時点で系統が完全に分かれており、入社後も退職するまで絶対に系統は変わることはない

「総合職」だからジョブローテーションもあるし、やりたいことや適性があればどんな仕事も出来るのではないか?という考えは甘い。ジョブローテーションはその系統内での動きだし、ポスト公募のようなシステムに応募しても、「あなたは○○系統だから。。。」という理由で受け付けられないことも多い。

つまり、選考の時点で自分が一生携わる仕事がほぼ決まってしまうため、系統選びは慎重にならなければならない。

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鉄道会社からの転職先 -辞めてどこに行くのか?-

以前、鉄道会社から辞める人は少ないという記事を書いたが、今回はその数少ない辞めた人がどこに行くのかを紹介しようと思う。

母集団自体が少数派であり、かつ筆者の知っている範囲での情報となるが、参考となれば幸いである。

限られる選択肢 -圧倒的に多い地方公務員-

第二新卒での転職を目指す上で業界選びは大切である。もしあなたが私と同様にファーストキャリアを鉄道を選んだとしたならば、選択肢は残念ながら非常に限られてくる。

筆者が見る限り、公務員(特に地方県庁や市役所)が圧倒的に多い。理由はいくつかあるが、

ファーストキャリアが重視されない(試験に通ればある程度受かる)

鉄道会社と同じように安定しておりまったり働ける

だいたいこの二つに集約されるだろう。また、給与水準もさほど変化がない(相変わらず安いまま…)という点もマイナスにならない。

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学歴について -JRや私鉄に入るために学歴は必要か?-

就活ではよく「学歴フィルター」なるものの存在がささやかれる。JR各社や大手私鉄などの鉄道会社において、採用に学歴は関係あるのだろうか?今回はその点について書いてみたいと思う。

採用実績は高学歴の学生ばかり

鉄道会社の総合職は高学歴の学生を多数採用している。学校名は採用に全く関係ありません、と就職活動の説明会ではよく言われている。もちろん、コンプライアンスにうるさいこのご時世に、弊社は高学歴の大学からしかとりません!とは、口が裂けても言えるはずがない。

しかし蓋を開けてみれば、皆が名前を知っているような大学がずらりと並ぶ。筆者がいた鉄道会社でも、先輩や同期、後輩もほぼ全てが世間的に名が通っている大学だった。

特にJRは東大、京大をはじめとする旧帝大と一橋、東工大、その他地方国立大学が多数である。早慶や関関同立といった私大も採用しているが、国立大学に比べるとその絶対数は少ない。

例えばJR東海は、JR東大と言われているくらい東大が多い。JR東海は就職活動において人気も高く、リニアや東海道新幹線など大きなことが出来るという点が学生からの支持を得るのだろう。

結論を言うと、所謂「学歴フィルター」は存在するのだ。筆者も経験したが、そもそも就活の説明会の時点で、ある程度高学歴の学生を対象とした個別の説明会が行われている。東大や京大といったトップ層の大学であれば、OB/OG懇親会の名のもとに、その大学のみを対象とした採用セミナーを行っているのが現状だ。

このようなセミナーでリクルーターから良い評価をえることで、選考のステップに初めて乗ることが出来るのだ。旧帝大や早慶上智、一橋や東工大などの学歴がなければ、選考に進むことは難しい。MARCHや関関同立だと、総合職よりもプロフェッショナル職などの現場採用の方が確率が高いだろう。

では、学歴がなければJRや私鉄の総合職として鉄道会社に入社することは出来ないのだろうか?実は必ずしもそうではない。

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