鉄道会社の組合はどんなもの?その1

今回は鉄道会社の特殊な労働組合について語ります。

労働組合とは?

労働組合と聞いて、何を想像するだろうか?
wikipediaによると、労働組合の定義はこうなっている。

労働組合(ろうどうくみあい、英語:trade union、labour union)とは、労働者の連帯組織であり、誠実な契約交渉の維持・賃上げ・雇用人数の増加・労働環境の向上などの共通目標達成を目的とする集団である。 その最も一般的な目的は、「組合員の雇用を維持し改善すること」である。

労働組合 – Wikipedia

近年ブラック企業への対策や、ワークライフバランスの向上などが叫ばれているが、労働組合を結成することで、会社側の一方的な都合が労働者に押し付けられず、こういった問題へ対処することも可能であるのだ。

労働組合が存在しない外資系企業やIT企業、外食産業の労働環境が問題になっているが、最近では業界全体の労働組合や、学生が結成した労働組合なども存在する。

鉄道会社の労働組合は?

一方、鉄道会社には昔から労働組合が存在している。むしろ、鉄道会社で働くという事=労働組合に所属することといっても過言ではない。

言葉だけを聞いてみると、鉄道会社はブラック企業などと違って労働組合がしっかりしていて、安心して働けるいい環境じゃないか!と思う人も多いだろう。

確かにそれは間違っていない。
しかし鉄道会社の労働組合は非常に特殊で複雑なのである。

鉄道会社の労働組合は面倒

まず、組合の力が比較的強く面倒である。現在は会社が組合の顔色を常に窺うという状態ではないが、何かを行う際には常に団体交渉が必要であり、交渉にあたる組合の幹部の機嫌を損なうと思ったような施策が出来なくなってしまう。

そのため必然的に、組合の委員長などの幹部に対しては、総合職の管理職といえども、普段から違う態度で接する。

普段はただの人の良さそうなオジサンであっても、○○労働組合△△地方□□分会執行委員長、といった仰々しい肩書を持っており、労働者の意見をまとめ上げて会社と交渉する闘士のような人が、どこの職場にも存在する。

こういう人に対しては管理者側も普段から気を遣うような態度をとるし、自分の力をわかっているオジサンも、尊大な態度をとる。

管理職「○○さん、今度会社でこういうことをしてみないかっていう話があるんですけど…」
組合幹部「会社側で勝手にあれこれ決めたって、俺たちはやらないからな!」
管理職「まあまあ、○○さんたちの気持ちもわかるんですけど、ちょっと話だけでも聞いてもらえませんか…?」
組合幹部「とにかくそういうことはまず組合を通してもらわないと」

と、まあ多少誇張も入っているがこんな感じである。
ベテランの組合幹部にもなってくると、昔研修を一緒に受けた同期の総合職が本社の部長等の役員になっていることも珍しくない。

総合職でも組合活動は大事

組合活動は現場向けのもので、自分は大学を出た総合職だから関係ないと思う人もいるのではないだろうか。

しかしそれは全くの間違い。むしろ現場職以上に組合活動に力を入れる必要がある。なぜだろうか?

多数開催される飲み会にて筆者も組合幹部と話したことがあるが、総合職であるとわかると、

「今の本社の部長の××って知ってるか?××とは同期でな、あいつがまだ課長だった頃に交渉して、だいぶ鍛えてやったんだ!」

という武勇伝を聞かされたり、異動の時期になると、

「へぇ~今度の支社長はあいつか。あいつは△△支社の人事課長やってたから、俺も付合いがあるんだけど、あいつは話のわかるいいやつだったな。俺たちの意見をよくわかってる」

というように、自分は平社員ではあるが役員をはじめとする会社のお偉いさんたちと対等に渡り合えているんだ、といったアピールをされる。

つまり出世しても組合の影響力はあるし組合をないがしろにするなよ、と釘を刺しているのだ。

以上が総合職こそ組合活動に積極的にならなければならない理由である。労使関係こそ鉄道会社の仕事の本質であり、組合とうまく付き合う事の出来ない管理職は評価されない。
そういう世界なのである。

草の根運動が大事

組合の飲み会には必ず参加し、組合幹部に酌をしに行き、顔を売っておく。こういった草の根運動が鉄道人生には必要である。

普通ではない組合活動

組合活動が面倒だと思う一方、組合活動に積極的に参加すれば色々な職場の人と出会えるし、活動自体面白いかもしれないし、プライベートは少し削られるけど、仲も深まって良いんじゃないか?と考える人もいるだろう。

組合のイベントには、スポーツやキャンプ等のレクリエーション活動や、職場の近所のボランティア清掃、春闘前などに開かれる定期大会等が存在する。
レクリエーション活動やボランティア活動については、普通の企業や団体も行っていることもあり、なんとなく雰囲気はわかると思うし、そういった活動が好きな人にとっては苦痛にはならないだろう。

しかし、鉄道会社ならではの組合活動は、普通の人には少し想像できない世界が待っている。

次回以降、特殊な組合活動について書いていきたいと思います。

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