企業選びのやり方

久々に更新。2020年に始まったコロナは、1年以上たった今でも収まるどころか益々感染者数は増えて、一向に収束する気配が見えない。

去年の秋ごろには、政府のGoToキャンペーンで鉄道会社や旅行会社、飲食業界等、コロナ禍で苦境を強いられていた業界も復活の兆しを見せていたが、それもあっという間に中止になり、しばらく経営は厳しい状況が続くだろう。

こうした先の見えない状況があるからか、私の質問箱やツイッターのDMでも鉄道会社の社員の方から、転職したいがどうすればよいのか、○○という企業に興味があるがどういった雰囲気や給料なのか、転職したいがどういった企業が良いのか、等というような質問がだいぶ増えてきたように見える。

私自身がいた業界・会社や、知人がいる業界・会社であれば、お答えすることは出来るが、正直個別の話になってくると限度がある。

そのため、今回は、転職活動はどうすればよいのか、また企業の評判を調べるにはどうすればよいのかについてお話ししようと思う。

転職活動はどうやればよいのか

これに関しては、前の記事でも書いたので今回は詳しくは書かない。

基本的には、転職エージェントに登録し、そこで条件に合った求人を検索し、職務経歴書や履歴書を企業へ応募し、面接をしていくという流れだ。

マイナビやリクナビ、dodaやtype等の大手が基本だろう。
(※マイナビのプロモーションを含みます。)

登録自体は無料だし、登録したからと言って転職活動を始めないといけないわけではないので、求職者にはデメリットは全くない。本当に行きたい会社が見つかれば、本格的に転職活動を始めればよいだろう。

企業をどうやって選べばよいのか

転職先(新卒の場合は就職先)を選ぶ際に気になるのが、企業の評判だろう

表に出ている給料は本当なのか、自分が入るとしたらどのくらい貰えるのか、転勤や配属はどの程度あるのか、職場の雰囲気はどうなのか、どのようにキャリアアップできるのか、離職率はどの程度なのか、福利厚生はどうなっているのか等々、悩みは尽きない。

都合の良い情報は、企業側も求職者の惹きつけに使うので表に出てくるのだが、都合の悪い情報は正直出てこない

そして、得てして本当に求職者が知りたい情報は、都合が悪い情報だったりするので、本当に知りたい情報は得られない。

オーソドックスな方法としては、その会社に勤めている知人・友人を見つけて、話を聞くことが良いだろう。気軽にできるし、親しければ本音を聞くことが出来るかもしれない。

ただし、その業界・会社に知人がいることはかなり少ないし、意外と自分のいる部署以外のことは知らなかったりするので、意外と情報収集には向いていない。

そこで有効なのが、「転職口コミサイト」である。

何かわからない人もいるかもしれないが、要するに「企業の食べログ」であるその会社にいる人・いた人が、率直な年収や勤務時間、キャリアアップや働き方等を書き込んで、評価を行うのである。

有名どころだと、「転職会議」「Openwork(旧Vorkers)」がある。

例えば、大手の口コミサイトである「転職会議」だと、こんな感じだ。(グーグルの企業評価を見た場合の画面イメージ)

年収ややりがい、将来性やスキルアップ等、かなり細かく書かれており、大手の企業ならば口コミ数も多いので、得たい情報は概ね得られるだろう。

使い方は簡単で、メールアドレスで会員登録を行うだけだ。ただし、全ての口コミを見るためには、①有料の会員プランを申し込む(月1,000円程度)、②自分自身も企業の口コミを記載する必要がある

②については、今いる企業のことを書けばよいので、比較的気軽にできるためオススメだ。自分のいる企業の情報を発信することで、他の企業の情報も得られるという、ギブアンドテイクのやり方なので、フェアーだろう。

仮に、身バレのリスクを恐れて有料プランに申し込むとしても、せいぜい月1,000円程度なので、大した出費ではない。むしろ、全く情報のない状態で転職してしまい、新たに入った会社でも想定外のことが起こってまた転職をしてしまうというリスクに比べれば、安いものだ

加えて、企業の面接のプロセスや聞かれる内容についての口コミがあることもポイントである。転職活動は緊張の連続だが、予め選考の大筋をつかんでおけば、変に緊張しすぎることもないだろう。

私自身も、転職活動するときはこれらの口コミサイトを活用し、受けている企業の情報を収集していた。エージェントからもある程度企業の情報は得られるのだが、転職エージェントはあくまで”企業側の代理人”で、企業側から金を貰っているので、内定が出そうな所について、我々の不利益になる情報は出してこないことが多い。実際、私が内定が出そうになった企業について、口コミサイトで調べたところ、実はエージェントが提示している給料は様々な条件が重なった時にしか出ない手当を含む額であり、実際は大幅に年収が下がる可能性があるという事もあったので、ダブルチェックは必須だろう。

また、転職だけでなく、新卒の学生にもこれらの転職口コミサイトはおススメだ。新卒採用の場合、社会人経験がないので中途以上に何を見ればよいか見当もつかないだろう。また、リクルート等が、企業から莫大な金を貰って、”夢のある社会人生活”を動画やパンフでアピールしてくる。なので、冷静に企業を判断するために、どういった部分に注目すればよいか、こうした口コミサイトを参考にするとよいだろう

コロナ禍で、鉄道会社等の大手企業ですら先行きが不透明な時代、しっかりと自分自身で情報収集を行っていくことが、良い社会人人生を送るうえでは最も重要だ。

皆さんの検討を祈ります。

鉄道会社のインターンで実態はわかるのか?

このブログは外からはわからない鉄道会社の実態を伝えることを目的としたブログだが、インターンに行けば実態がわかるのでは?という意見もよく聞く。

確かに最近はJR・私鉄共にインターンをやる会社が多く、学生の業界理解の助けになっていることは間違いないだろう。

しかしインターンは所詮はインターン。今回はインターンではどのような事をやって、それが実態とはどう違うかを紹介しよう。

1.傍からみるとかなり本格的

多くの鉄道会社が「業務理解を深めてほしい」「会社で働くイメージを持ってもらう」「より実際の業務に近いことを体験し志望度を上げてもらう」等と称してインターンをやっている。

今回は代表例として、JR東日本とJR東海の最新のインターンシップ内容を見てみよう。

JR東日本だと大きくはビジネスマネジメント(事務系)とテクニカルマネジメント(技術系)の2つ、JR東海だと事務・運輸・施設・車両・電気の5種類と採用系統と同じくくりになっている。

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運転士になるには?その1 -意外と長い道のり-

どんな人も子供の頃、電車の運転士に憧れたことはあるだろう。特に男の子であれば一度はなりたいと思うに違いない。
実際、将来就きたい職業ランキングでは10位以内に入っている。

また、なってみれば(あくまで今のところだが、)意外と給料も悪くはない。

では、電車の運転士になるにはどうすればよいのだろうか。
今回は一人の運転士として、列車を動かすまでにどのような過程を踏めばよいのかを紹介してみる。

1.鉄道会社に就職する

運転士は国家資格

運転士は国家資格であるため、実際の路線で列車を運転するためには、国土交通省の地方運輸局が発行する免許が必要になる

自動車を運転するためには、教習所に通い、試験を受けて免許を取得するのと同じである。

運転士の免許は動力車操縦者免許と呼ばれ、国土交通省が指定する養成所で指定の教育を受けた後に、実習を行うことで取得できる。

注:これは動力車操縦者免許ではありません

国土交通省が指定する養成所は、鉄道会社の研修施設内にあるため、まずは鉄道会社に就職することが第1歩である。地方の規模が小さい私鉄だと、自社で養成せずに大手の鉄道会社に研修を委託している場合もある。

また国家資格であるため、鉄道会社に就職せずとも独学で勉強を行い、試験に通ることで免許を取得することも、理屈上では可能であるが、机上教育ならまだしも、実際の路線上で練習をすることが出来ないため、現実的には不可能であり、費用も莫大となるためこれまで個人で取得した事例は筆者は聞いたことがない。はっきりはしないが、現在は法的にも鉄道事業者に所属しなければ取得不可と変わったかもしれない。

自動車でいえば教習所に通わず、免許センターへ直接試験を受けるようなものだろうか。しかし鉄道の場合はよりハードルが高いだろう。

1人の運転士を養成するのに1,000万円?

ある鉄道会社が少し前に、自費での運転士養成を募集し、実際に数名が運転士となったが、数百万円もの自己負担があったようだ。

筆者自身も社内で、運転士を一人養成するためには1000万円近くの金がかかっている、という言葉を聞いたこともある。

のちに詳しく述べるが、訓練期間中は単に座学を受けているだけだったり、実際の路線を運転していても、指導役が横についている。事故や異常時の訓練のための運転シミュレーターも莫大な費用が掛かる。人件費や教材費を合わせると、そんなもんだろう。

このように運転士を一人養成するためには、莫大な時間と金がかかるため、個人では到底不可能である。

入社後の配属を勝ち取れ

話が逸れてしまったが、運転士になるためには、とにかく鉄道会社に就職する必要があるという事だ。

しかし、入社したからといって安心はできない。まずは配属というハードルをクリアする必要がある

鉄道会社は駅、輸送、保線、電力、車両など様々な系統ごとに採用を行っており、入社後すぐに系統が決められるが、最初に入った系統から異動することはほぼ確実に無い。このため運転士になるためには、まず輸送系など運転士に関係のある系統に配属されなければならない。これが第1のハードルである。

運転士になりたい人が、入社後の配属で輸送系の部門に配属されず、何度か上司に相談したものの結局異動もかなわず辞めてしまったこともあるようだ。

とにかく、入社前から輸送系の職種を志望しておき、面接や配属の面談でもそれを言い続けるのが良いだろう。

2.駅員・車掌になる

さて、運良く輸送系の部門に配属されたとしても、いきなり運転士の養成コースに入ることは出来ない。

駅員→車掌をまずは経験

会社によっても異なるが、基本的に駅員→車掌というように段階を経ていき、各段階で少なくとも2年程度は経験を積ませるため、高校を卒業して18歳ですぐに入社し、最短でステップを踏んでも養成コースに入るためには23~4歳になっている。

駅員や車掌は運転士に向けた一つのステップに過ぎないと思う方もいるだろう。

しかし車掌になるためにも社内の筆記試験や面接試験があり、遅刻歴がないか、ひどいミスをしていないか、接客態度に問題はないかといった、普段の勤務態度を勘案したうえで試験の合否が決められる。

遅刻があったり、勤務態度が悪いとその時点で乗務員としての適性がないとみなされ、試験を受けることすら出来ないから要注意だ。

ほぼ対策できない適性検査

また車掌を含め乗務員になるためには、医学適性検査や運転適性検査といった検査も通過する必要がある。

医学適性検査の細かい内容は会社ごとに異なるが、視力や聴力、色覚、遠近感や睡眠状態、果ては脳波まで細かく検査される場合もある。これらは生理的なものだし、訓練してどうにかなるものではない。

運転適性検査は、クレペリンという瞬時の判断力や作業の正確性を見る検査であり、検索をしてもらえば詳細はわかると思うが、非常に精神を消耗する検査である。

これらの検査の合格基準は知らされておらず、これといった対策を立てることは困難だ。

稀に、これらの検査を通過することが出来ずに、乗務員を諦める人もいることもある。

3.運転士養成コースに入る

まずは運転士コースの登用試験

車掌を数年経験した後、特に問題なく業務をこなしており、上長からの推薦があれば運転士養成コースに入るための試験を受けることになる。

この試験も車掌と同様に、筆記試験や面接試験があり、社内通信研修の受講なども必要となる。普段の勤務態度や遅刻歴が重視されることは言うまでもない。

ちなみに、JR東日本は車掌・運転士の登用試験を来年にはなくすので、試験についてはハードルが無くなる。

運転士と車掌の名称廃止へ JR東日本、登用試験もなくす(共同通信)

10回近くこの試験を受験したにもかかわらず、特に目立った理由もないのに落とされている人もおり、俺は諦めて車掌を続けるよ、といった人もいる

また、車掌になるときと同様に、ここでも適性検査を受けさせられる。車掌の時よりも基準が厳しい場合があり、運転士になるために会社に入ったにもかかわらず、適性検査に合格することが出来ず、会社を辞めていった人もいる

合格しても先輩の順番待ち

養成コースに合格したとしても、要員の都合上すぐに研修施設に入れるわけではなく、長ければ1年以上待たされることもある

試験に合格して喜んだものの、結局今までと同じ仕事を1年近く続けており、結局なんだったんだ。。。?と思うこともあるだろう。

関門はまだまだ続く

ここまで書いたように、運転士になるためには時間もかかるし、それなりのハードルを越えてこなければならない。

しかし、ここまで書いたのは、養成コースに入るまでの過程であって、コースに入ったからといって必ずしも全員が運転士になれるわけではない

次は、机上研修と、最もハードルが高い実地研修について書いていこうと思う。

鉄道会社の給料 -本当に「まったり高給」なのか?-

4月1日に鉄道会社に就職した新社会人の方は、そろそろ人生初の給料日が近付いてきたことだろう。既に給与明細が配られている人もいるかもしれない。

今回は、鉄道会社の若手の給料について、少し詳しく書いてみようと思う。

新社会人の人は、今後数年働く中でどれくらいの給料がもらえるか、またJR各社をはじめとした鉄道会社への就職を考えている人にも、会社選びの一つの軸として参考にしてほしい。

一般的に高給と思われている、鉄道会社(特にJR各社)の総合職の給与に注目して書いてみる。

鉄道会社は決してまったり高給の良い仕事ではない

学生をはじめとして、他の業界で働く社会人でも、鉄道会社は安定で高給、仕事はまったりというイメージを抱いている人は多いだろう。

結論から言ってしまえば、「まったり高給」というイメージは全く間違っていると言わざるをえない。

簡単に表すと、手取りは以下のような式であらわされる

手取り=基本給+各種手当(都市手当、超勤手当、特殊勤務手当、etc)ー各種控除(所得税、住民税、健康保険料、年金保険料、etc)

それでは、細かく見てみよう。

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鉄道会社へ就職するには? -リク面の内容-

前回の記事では、鉄道会社(JR各社)の就職活動で行われている、リクルーター面談(通称リク面)について書いてみた。

簡単に言えば、 採用解禁前から業務説明や先輩社員との懇親という名目で、喫茶店などで行われる非公式な面接の事である。

業務説明という言葉を額面通り受け取り、志望動機や自己PRを何も考えていないという点だけは避けたい。

今回は、リク面で主に聞かれる内容と、なぜそのような質問がされるかについて、私の推測も含みつつ紹介したいと思う。

これは確実ではなく私が体験したり周囲から集めた情報を基に書いたものなので、現在も必ずしもその内容が聞かれるとは限らないので、その点はご容赦いただきたい。

リク面で聞かれる内容は、大きく分けると3つ

細かい内容は異なるが、どの鉄道会社(JR各社)のリク面もほぼ聞かれることは同じである。傾向として、以下の3つの質問内容が多いようだ。

① なぜその会社を志望するのか(JR東日本ならなぜ東海ではなく東日本なのか)

② 学生時代に頑張ってきたことは何か

③ 他企業の選考状況はどうなっているのか

それぞれについて、簡単に紹介してみよう。

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鉄道会社へ就職するには? -リクルーター面談-

就活シーズンも本格化し、街でリクルートスーツ姿の就活生を見ることも多くなった。学生にとっては、自分が志望する会社の選考プロセスや面接で聞かれることは、何よりも気になるだろう。

かなり前の記事になるが、鉄道会社の総合職の採用プロセスについて書いたが、今回は鉄道会社で行われている、リクルーター面談について簡単に書いてみよう。

リクルーター面談は存在するのか?

鉄道会社(JR各社)の採用でよく行われていると聞かれるのが、リクルーター面談だ。

リクルーター面談、通称リク面とは、選考が正式解禁となる前に行われる実質的には選考となる面談の事である。

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総合職の採用系統 -どの系統のキャリアが有利か?-

前回の記事では、JR各社で生きていくうえでどのキャリアプランが良いかについて書いてみた。

簡単に言えば、出世がしやすい(社内で力を持ちやすい)系統は、 事務系>輸送系>開発系>施設・電気系 の順である。

役職などは各系統内で人事が行われるので、別に出世に大きな差がつくわけではないが、所々で系統間の力関係は見えてくるのだ。

輸送系は「安全の最後の砦」という御旗のもとに、他の系統に色々と要求することが出来るし、事務系は労組とのパイプという強いカードを持っている。

こんな社内事情をほとんどの就活生は知るわけもないのだが、いざ就活が始まってみると大体上の順番の倍率となる。なんとなく華がある、というのは外から見ても感じられるのだろう。

ただ、鉄道会社という枠を超えてキャリアを形成する場合は、また違う展開になる。今回は会社内ではなく、「市場価値」を見据えたキャリア形成について書いてみよう。

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総合職の採用系統 -それぞれどんな仕事をするのか?-

今回は主にJR各社、特に主要三社(JR東日本、JR東海、JR西日本)の総合職の採用系統について紹介しよう。

採用系統で一生の仕事が決まる

ご存知の方も多いかもしれないが、JR各社は「総合職」という採用は行っていない。JR各社の総合職の選考を受ける場合、多数ある系統から一つを選ばなければならず、「総合職○○系統」といった採用になる。

ご存知の方も多いかもしれないが、JR各社は「総合職」という採用は行っていない。JR各社の総合職の選考を受ける場合、多数ある系統から一つを選ばなければならず、「総合職○○系統」といった採用になる。

選考の時点で系統が完全に分かれており、入社後も退職するまで絶対に系統は変わることはない

「総合職」だからジョブローテーションもあるし、やりたいことや適性があればどんな仕事も出来るのではないか?という考えは甘い。ジョブローテーションはその系統内での動きだし、ポスト公募のようなシステムに応募しても、「あなたは○○系統だから。。。」という理由で受け付けられないことも多い。

つまり、選考の時点で自分が一生携わる仕事がほぼ決まってしまうため、系統選びは慎重にならなければならない。

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学歴について -JRや私鉄に入るために学歴は必要か?-

就活ではよく「学歴フィルター」なるものの存在がささやかれる。JR各社や大手私鉄などの鉄道会社において、採用に学歴は関係あるのだろうか?今回はその点について書いてみたいと思う。

採用実績は高学歴の学生ばかり

鉄道会社の総合職は高学歴の学生を多数採用している。学校名は採用に全く関係ありません、と就職活動の説明会ではよく言われている。もちろん、コンプライアンスにうるさいこのご時世に、弊社は高学歴の大学からしかとりません!とは、口が裂けても言えるはずがない。

しかし蓋を開けてみれば、皆が名前を知っているような大学がずらりと並ぶ。筆者がいた鉄道会社でも、先輩や同期、後輩もほぼ全てが世間的に名が通っている大学だった。

特にJRは東大、京大をはじめとする旧帝大と一橋、東工大、その他地方国立大学が多数である。早慶や関関同立といった私大も採用しているが、国立大学に比べるとその絶対数は少ない。

例えばJR東海は、JR東大と言われているくらい東大が多い。JR東海は就職活動において人気も高く、リニアや東海道新幹線など大きなことが出来るという点が学生からの支持を得るのだろう。

結論を言うと、所謂「学歴フィルター」は存在するのだ。筆者も経験したが、そもそも就活の説明会の時点で、ある程度高学歴の学生を対象とした個別の説明会が行われている。東大や京大といったトップ層の大学であれば、OB/OG懇親会の名のもとに、その大学のみを対象とした採用セミナーを行っているのが現状だ。

このようなセミナーでリクルーターから良い評価をえることで、選考のステップに初めて乗ることが出来るのだ。旧帝大や早慶上智、一橋や東工大などの学歴がなければ、選考に進むことは難しい。MARCHや関関同立だと、総合職よりもプロフェッショナル職などの現場採用の方が確率が高いだろう。

では、学歴がなければJRや私鉄の総合職として鉄道会社に入社することは出来ないのだろうか?実は必ずしもそうではない。

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鉄道会社の社風 その2 ー何事も安全第一ー

前回の記事では鉄道会社の体育会系な社風について紹介した。今回はJR各社や私鉄にありがちな、保守的な風土について語ってみようと思う。

人間関係だけではなく仕事の進め方について知っておくことも、これから鉄道会社に就職を考えている学生や、転職を考えている人にも参考になると思う。

仕事の基本は「安全第一」

鉄道を動かす上で最重要視されるのが安全である。何しろ、百トンを超える鉄の塊が時速100Km程度で走っているのである。下手をすれば一度の事故で100人以上の死者が出る。

よく言われるのは、「鉄道の歴史とは事故の歴史である」という言葉である。普通に電車に乗っている分には意識することはないが、列車が一本走るためには予想以上に多くの安全対策が施されている。

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