鉄道会社からの転職先 -辞めてどこに行くのか?-

以前、鉄道会社から辞める人は少ないという記事を書いたが、今回はその数少ない辞めた人がどこに行くのかを紹介しようと思う。

母集団自体が少数派であり、かつ筆者の知っている範囲での情報となるが、参考となれば幸いである。

限られる選択肢 -圧倒的に多い地方公務員-

第二新卒での転職を目指す上で業界選びは大切である。もしあなたが私と同様にファーストキャリアを鉄道を選んだとしたならば、選択肢は残念ながら非常に限られてくる。

筆者が見る限り、公務員(特に地方県庁や市役所)が圧倒的に多い。理由はいくつかあるが、

ファーストキャリアが重視されない(試験に通ればある程度受かる)

鉄道会社と同じように安定しておりまったり働ける

だいたいこの二つに集約されるだろう。また、給与水準もさほど変化がない(相変わらず安いまま…)という点もマイナスにならない。

そもそもJR各社(私鉄はちょっと異なるかもしれないが)に就職しようという人間のパーソナリティとして、公共的な仕事をしたい思いが強く、自らビジネスという厳しい世界に飛び込むつもりがなかった人が多い

また、偏差値エリートが多く試験である程度合否が決まるというのも、わかりやすくてウケが良いのだ。スキルセットがほぼないが受験スキルは高い鉄道人にとっても、この点は非常にありがたい

こういった人が、JR各社の転勤や職場の風土を嫌がって転職する先が公務員である。 公務員の採用側にとっても、鉄道会社に在籍していたのであれば身元もしっかりしているし、まあバカなことをしないだろうという安心感もある。

まれに、国家総合職のようなハードな道を選ぶ人もいる。が、これは茨の道だ。

イメージとしては、泥臭さというよりはインテリジェンスを武器に戦っている印象があるため、まぶしく見えることこのうえない。公共への意識が強くかつ志も高く、20代の期間を不毛に終わらせたくないという気持ちが強い人間が志望する。

鉄道会社で油を売っていたとはいえ、まがいなりにも総合職である。国一は死ぬ気で勉強すれば越えれない壁ではないし、そういう人間は越えていく。

ただ、試験を受けたり官庁訪問をするにもかなりの時間を取られるし、地方勤務ならなおさら負担は重い。しかも入ってからは、(近年人気が落ちているとはいえ)優秀な人間ばかりだ。鉄道会社と異なり、1年目から1週間連続徹夜で帰れないなんてことは珍しくない。それに給料も似たようなものだ。

鉄道会社のぬるま湯につかりきった人に、国家総合職はきついだろう。

まとめると、ビジネスに関するスキルセットがないが、学校の勉強はできた偏差値エリートで、鉄道会社と同じくらい負担が軽い仕事、となると地方公務員しか選択肢はない。

他に選択肢はないのか?

以前書いたが、普通に転職活動を行っても書類審査で落とされることがほとんどであり、そもそもが選考にたどり着けない。待遇や福利厚生などのレベルを落とせばいくらでも選択肢はあるが(それこそコンビニなど)

しかし、かなりの少数派ではあるが、コンサルという選択肢もある

コンサルも公務員ほどではないもののファーストキャリアは重視されない。(ただし、少なくともJR本州三社、関東・関西大手私鉄レベルに入っておく必要があるが)

それに多くの場合、大幅な給与アップが見込まれる。ただその分労働時間も圧倒的に増えるし、努力よりも成果が求められ、自分で問題を見つけ自分で解決していくプロフェッショナル性が必要だ。ある程度の期間在籍してパフォームしなければ、Out即ちクビだ。つまり鉄道会社とは真逆の環境である。

コンサルに行く人は少数だが優秀で、鉄道会社のように年下がものを言うことを良しとしない風土では、自身が努力する価値もないし、やってらんねぇと思っている人が多い。ここで頑張る気はない、と感じているような人間である。よく言えば合理的と解釈できる。

鉄道会社は年功序列がすべての風土を一新すべく、立場が下でも物怖じせずに発言できるような人間を総合職にと思ってはいるが、現状そんな人間は現場ではやっていけない。

というか、正しい解が堂々と言えるやつがほしいというより、求められるのはそうした姿勢をみせて風土を変えてほしいというのが本音だろう。なので発言している本人としては、発言するモチベーションはあがらない。なんでまず自身が発言風土を作っていかなければならないのか。発言内容ならまだしも、その風土構築にエネルギーをかけるのなんてめんどうだと感じる人間も多いのが実情だろう。

もし以上のような不満をもっており、生活をがらっと変えたいのであれば、コンサルという選択肢も出てくるだろう。

かくいう私は、公務員になりたいわけでも、コンサルもやりたいわけではなかったので。また違う道をえらんだわけだが。転職市場で鉄道人の多くが、上記の二つをまずは脱出へのゴールとするのは非常に現実的であると思う。

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